抱っこをねだる理由

窓辺に座り、外を静かに見つめるチョコレートタンのチワワ・オペラの横顔 ライフログ

🕊️ 前回のお話:第18話「窓辺を揺らす冬の風」


冬の朝、ストーブの灯りがゆっくり揺れていた。
加湿器の白い気配がふわりと広がり、窓の外には薄い光が滲んでいる。
その中でオペラが、後ろ足で立ちながらぴょんぴょんと跳ねていた。

はじめは「タッチ」をしたいのだと思っていた。
僕が手を出すと、オペラは前足を乗せようとして、少しだけ届かない。
そのたびにまた跳ねる。くり返す。くり返す。
小さな体で、一生懸命に。


その跳ね方の理由

ある日、手の中に文鳥を包んでいたときのことだ。
オペラが同じように後ろ足だけで立ち、ぴょんぴょんと跳ねはじめた。
「タッチかな?」と思って手を出しても、まったく落ち着かない。

文鳥をそっとケージに戻し、試しにオペラを抱き上げてみた。
その瞬間——静かになった。
胸に顔を寄せて、ひと呼吸おくみたいに。

そのとき、ようやく気づいた。
あれは「タッチ」なんかじゃなくて、
——「抱っこして」のサインだったのだ。


嫉妬という名のやさしい気持ち

それから何度か同じ状況があった。
文鳥を手のひらに包むと、決まってオペラが跳ねる。
跳ねながら、こちらを見上げ続ける。

「僕の番だよ」とでも言うように。

抱き上げると、ゆっくり腕の中で落ち着いていく。
そのぬくもりは、まるで子どものようだった。
小さな胸が上下し、体が少しずつゆるんでいく。

気づけばこちらまで胸があたたかくなっていた。


成長という灯り

最近、オペラはとてもよく成長した。
「おすわり」も「お手」も覚え、失敗しながらもトイレもがんばっている。
肉球が乾燥してクリームを塗る日もあれば、涙やけが気になる日もある。

そんな変化のひとつひとつが、いとおしい。

抱っこをせがむようになったのも、きっとその成長の一部。
季節が冬へ向かうとともに、人のぬくもりを覚えたのかもしれない。

今日もまた、ぴょんぴょんと跳ねて僕を見上げている。
そのまなざしに応えるように腕を伸ばすと——
オペラはためらいもなく飛び込んできた。


あとがき

小さな体で跳ねながら伝えていた気持ち。
抱きしめてはじめてわかる想いがある。

冬の空気の中で、寄り添う温度はひとつの言葉みたいに、
今日のページに静かに灯っていく。


📘 次のお話:第20話「オペラが起こす朝に」

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