寒さが少しずつ深まってきたある日。
知り合いから届いた、小さな包み。
中には、ふわふわの青と白のニットが入っていた。
「オペラにどうかな」と書かれたカード。
冬の入り口に、ぴったりの贈り物だった。
最初、オペラは困惑していた。
袖を通すたびに、身体をねじってみたり、
後ろ足で必死に服を引っ張ってみたり。
その姿は、まるで——
“自由を奪われた哲学者”のようだった。
けれど、数分後。
ふと見れば、もう毛布の上で丸くなっていた。
表情は穏やかで、まるで「悪くないかもね」とでも言いたげ。
ぬくもりをまとうことは、
ただ身体を守るだけじゃなく、
心のスイッチを「安心」に切り替えることなのかもしれない。
しばらく見とれていたら、
オペラがこちらを見上げて、
“どう?似合ってる?”とでも言うように首をかしげた。
思わず笑って、
「うん、今年の冬はもう大丈夫そうだね」と返す。
あとがき
小さな命にも、季節のリズムがある。
“初めて”を重ねていくたびに、
その冬は少しずつ記憶の中であたたかくなっていく。初ニットのオペラ。
その姿は、冬の真ん中にぽっと灯る、
小さなストーブのようだった。

