🕊️ 前回のお話:第35話「小さな勇気と、シャンプーの日」
朝、オペラがリビングを走りまわるたびに、
“パタパタ”と小さな足音が響く。
最近、その音が少しだけ変わった気がした。
抱き上げて肉球をそっと触ると、
あのぷにぷにした感触が、ほんの少し硬くなっている。
——ああ、冬が来たんだな。
そんなふうに思っていたちょうどその頃、
最初に変化に気づいたのは妻だった。
冬がくると、肉球も季節をまとう
オペラの爪を切り、ヤスリで整えていたときのこと。
「おぷっぷ、オペラの肉球、ちょっと硬くなってない?」
妻が小さく眉を寄せて、オペラの足裏を見つめた。
触ってみると、たしかに前よりざらついている。
リビングを縦横無尽に走り回るようになったせいか、
それとも暖房の乾燥にやられたのか。
どちらにしても、
「あ、今ケアしてあげるタイミングなんだ」
とすぐに思った。
ちょうど僕は肉球クリームを調べていたところで、
候補の中から一つに絞るだけの状態だった。
「今夜届くみたい」
そう伝えると、妻はほっとしたように
「助かる…早く塗ってあげたいんだよね」
と、オペラの小さな足をもう一度そっと触った。
その日の夜21時。
Amazonから届いたばかりの肉球クリームを開封し、
オペラの足先にゆっくりと塗り込んだ。
肉球クリームを取り出すと、オペラが走ってくる
選んだのは、
aliel&co のパウケア・オールインワンジェルクリーム。
無香料で、ベタつきゼロのジェルタイプ。
ヒューマングレードで、犬の肌質に合わせた弱アルカリ処方。
すっと伸びて使いやすい。
キャップを開けた瞬間——
どこからともなくオペラがすぐにやってくる。
理由は簡単。
“舐めたいから”だ。
塗っているそばから舐めようとしてくるので、
こちらはかわしながら必死に塗る。
もう笑うしかない。
早く塗って…ペロペロしたいんだよ…。
そんな声が聞こえてきそうな仕草をするオペラ。
もうほんと、かわいい。
塗ったあとは、なにも気にせずまっすぐ走る
塗り終われば、オペラの世界がまた始まる。
歩きにくそうにするわけでもなく、
気にする素振りも一切なし。
いつもどおり、元気いっぱいに走り回る。
「全然気にしないんだな…」と笑いながら、
少しだけ安心する。
小さな肉球を守れるというだけで、
こんなにも心が軽くなるんだな、と思った。
触れるたびに思う。「生きてるんだなぁ」って
肉球って、
触ると一瞬で心が静かになる。
温かくて、柔らかくて、
でもちゃんと力があって。
“生きてる証” を手のひらで感じる。
ケアをしているつもりが、
気づいたら、こちらのほうが癒されていたりする。
オペラは、本当に不思議な子だ。
あとがき
肉球クリームなんて、
最初は「ケア用品」のひとつだと思っていた。でもいまは、それだけじゃない。
毎日触れて気づく小さな変化。
オペラとの距離がすこし近くなる時間。
そして、冬の乾燥から守るための小さな習慣。それら全部が、
“オペラと暮らすということ” を静かに教えてくれる。季節が変わっても、
オペラの足音が軽やかでありますように。
そんな想いをこめて、
これからも続けていきたい。

