🕊️ 前回のお話:第3話「静かな炎に映る少年の足音」
☕ 目覚めとキッチンの音
まだ空が白む前、
家の中に最初の音が生まれる。
タイムモアS3を持ち上げるときの「コトッ」という金属音。
豆を入れてハンドルを回すと、
ザラリ、ザラリとしたリズムが、ゆっくりと朝を起こしていく。
誰もいないキッチン。
その音だけが生きているようで、
なんだか少し誇らしい。
🌤️ 湯気と光
ドリップケトルから細いお湯を落とすと、
粉がふわっと膨らむ。
その香りがキッチンの隅々に広がる頃、
窓の向こうから淡い光が差してくる。
カップに注いだ瞬間、
白い湯気がふわりと立ち上がる。
それを見つめながら、深く息を吸い込む。
——今日も、始まったな。
🔄 過去とのリンク
この瞬間になると、
いつも“あの店”の空気を思い出す。
カトレア店内音楽のジャズ、
駅前喫茶の木の床、
マスターの手の動き、
そして母のハンドドリップ。
どれも、今の自分の中に生きている。
あの頃と同じように、
香りを嗅ぎながら心を整える。
🧘♂️ 整える時間
スマホもテレビもつけずに、
ただコーヒーと向き合う。
お湯の音、ドリップの呼吸、
それだけに意識を向ける時間。
「整う」って、
新しいことを始めることじゃなく、
余計なものを手放すことなんだと思う。
その静けさの中に、
今日を生きるエネルギーがちゃんとある。
💬 あとがきのひとこと
あの頃の“サイフォンの炎”が、
今では“朝の湯気”に変わっただけ。
コーヒーは、いつだって心のリセットボタン。

