🕊️ 前回のお話:第106話「クランクは通れた。でも落とし穴は別にあった」
スラロームは、失敗しなかった。
- パイロン接触なし
- 転倒なし
- 通過OK
教官も特に指摘はしない。
でも、心の中は晴れなかった。
頭の中のスラローム
白バイのイメージ
僕の理想は、あれだった。
ブォン、ブォン、ブォン、ブォン、ブォン。
アクセル音と同時に車体が起き上がり、
切り返しが鋭く、
リズムがある。
まるで音楽のように、
パイロンを縫っていく。
現実の自分
実際の僕は、
- ハンドル操作で起こす
- わずかに身体を傾ける
- アクセルを開けるけどタイミングがズレる
- 後半できつくなる
- アクセルと後ブレーキの操作がバラバラ
なんちゃってスラローム。
通っているだけ。
見逃される完成度
パイロンに当たらない。
転ばない。
一応タイムも出ている。
だから、教官も強くは言わない。
でも、それが地味に悔しい。
自分の中では、
全然できていない。
リズムがない
スラロームは、
加速と減速のリズムだ。
アクセルで起こし、
切り返しで車体を預ける。
でも僕は、
操作が点で繋がっているだけだった。
線になっていない。
理想との差を知る
通過できることと、
思い描いた動きは違う。
でも、差を知れたことは収穫だった。
白バイのイメージは、
まだ遠い。
けれど、目標があるということは、
伸びしろがあるということだ。
あとがき
一本橋で理解し、
8の字で自信を取り戻し、
クランクで確認を学んだ。
スラロームは、
“理想との距離”を教えてくれた。
ブォン、ブォン、ブォン。
あの音を出せる日は、
まだ先かもしれない。
でも、
そのイメージは手放さない。

