茨の道を行く夜の、ぶり大根

自宅のアイランドキッチンで作った、湯気の立つぶり大根 「日々とぬくもり」

🕊️ 前回のお話:第52話「点検のあと、何でもない帰り道」


妻がスーパーで鮮魚の見切り品をたくさん買ってきてくれた。

ぶりのあら、
さば、
真アジ。

見切り品ということは、
なるべく早く調理しないと傷んでしまう。

まず手を付けたのは、ぶりのあらだった。


あら汁か、ぶり大根か

メニューは二択。

・ぶりのあら汁
・ぶり大根

妻の希望は、あら汁。
僕も最初はそのつもりだった。

ところが、ここで問題がひとつ。

出刃包丁がなかった。

購入したぶりのあらの中には、
半身で骨付きの大きな部位がいくつも入っていた。

このままでは汁椀に収まらない。
骨を断つための出刃包丁もない。

結果、
**大きいままでも対応できる「ぶり大根」**を選ぶことになった。

理由はいたって単純だ。


下処理と、少しの手間

ぶり大根は、下処理が少しだけ必要になる。

塩を振って、
熱湯をかけて、
水で洗って、
水気を拭く。

大根は輪切りにして、
皮を剥き、
いちょう切りにして、
面取りをした。

面取りした端切れは、
ちゃんとオペラのご飯行きだ。無駄にはしない。

工程(手順)は多そうに見えるけど、
やっていることは淡々としている。


味付けは、驚くほどシンプル

調味料は、
砂糖と醤油だけ。

煮込む段階では、
日本酒とだし汁。

それだけでいい。

料理を覚えたての頃は、
テレビや本を頼りに、そのまま真似していた。

インターネットもスマホもない時代だ。
いつの時代の人だよ、って話だけどwww

まずは「基準」を知る。
そこから少しずつ、自分の味に寄せていく。

今回は、
調味料の少なさがしっくりきた。


うまく炊けた大根

いざ、実食。

やはり、美味い。

特に、大根。
みずみずしく、やさしく炊けた。

あえて「煮た」とは言わない。
炊けた、が近い。

使っている食材も、調味料も、すべて分かっている。
保存料もない。

その安心感も含めて、
ちゃんと美味しかった。


妻の一言と、僕の人生

食べながら、妻が言った。

「簡単なあら汁で良かったのになぁ。
まさか、ぶり大根とは思わなかったよ」

そして、続けて。

「なんで、わざわざ面倒な方を選ぶかなぁ?」

僕は、少し間を置いて、ボソッと答えた。

「茨の道を行くの。
僕の人生と一緒だよ」

笑われたけど、
あながち冗談でもない。


少しの余裕

妻のご用命で、ぶりのあらを調理した。

結果的に、
少し手間のかかる方を選んでいた。

でもそれは、
時間と気持ちに、ほんの少し余裕が出てきた証拠なのかもしれない。

料理も、人生も、
いつも簡単な方を選ぶとは限らない。

そんな夜の、ぶり大根だった。

あとがき

料理自慢でもなく、 レシピ共有でもなく、

ただ、
その日の選択と、
そのときの余裕を、
忘れないための記録。

こういう話が残っていくのも、
悪くないなと思っている。


📘 次のお話:第54話「学校給食の記憶と、サバの竜田揚げ」


プロフィール
こんにちは、自由きままなライフログを書いている おぷっぷ です。

このブログは、今の僕の人生を言い表す言葉を置いておきます。

「山頂を目指す登山ではなく、森を歩く散策。」

目的地は決まっていない。

ただ、歩く。

風の音に耳を澄ませ、

鳥のさえずりに足を止め、

足元に咲く小さな花を見つける。

昨日は気づかなかった景色が、

今日はなぜか心に残る。

昔の足跡を見つけては、

「あの頃の自分は、ここを歩いていたんだな。」

と、静かに微笑む。

歩くたびに森の景色は少しずつ変わり、

歩くたびに自分も少しずつ変わっている。

だから、同じ道でも、

いつも新しい発見がある。

人生は、

山頂を目指して競い合うものではなく、

自分だけの森を歩きながら、
出会った景色を味わう旅なのかもしれない。

そして、このブログは――

人生という森を歩いて見つけた、小さな景色を残す備忘録。

未来の自分へ。

そして、いつか家族がこの森を歩く日が来たなら、

「あぁ、この人はこんな景色を見ながら生きていたんだ。」

そんなことが少しでも伝わったら、

それだけで十分。
ライフログ「日々とぬくもり」
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