流れに乗って、ここにいる

静かな暮らしの気配を感じさせる、やわらかな色合いの抽象的な背景 ライフログ

🕊️ 前回のお話:第43話「これじゃない感の正体」


正直に言うと、
この家は、最初から強く望んで手に入れたものではなかった。

「この土地、お買い得ですよ」

そう紹介されて、
話を聞いて、
悩んで、
一度は「やっぱりやめたい」と思った。


止めたはずの選択が、前に進んでいた

希望していた広さではなかったし、
無理に進める理由もなかった。

実際、購入を止めたいと伝えた。
でも、時すでに遅し、というやつで、
流れはそのまま前に進んでいった。

土地をお勧めされて、引き渡しまで一年かかった。
解体があって、地鎮祭があって、
地盤調査、地盤改良、基礎工事、上棟。

建築が進み、内装を決め、外構を決め、
ようやく引き渡しの日を迎えた。


狭さより、解放感を選んだわけではない

その間、
ハウスメーカーさんとの打ち合わせや決め事、
細かな行き違いもいくつかあって、
てんやわんやだったのは確かだ。

基本の間取りは大きく変えられなかったけれど、
それ以外の部分では、
僕や妻の意見をしっかり取り入れてくれた。

いわゆる狭小住宅、
という括りになるのかもしれない。


他人の目と、自分たちの感覚

遊びに来た友人たちは口を揃えて言う。

「え? 思ってたより狭くないよ」
「解放感あるし、なんか贅沢な造りじゃない?」

――少し、リップサービスも入っているだろう。

正直な人は、
「解放感はあるけど、部屋数は少ないよね」
と、にこやかに言ってくれた。

その正直さが、
なんだか嬉しかったりもする。


気に入っている、という事実

僕たち自身も、
なんだかんだ、この家を気に入っている。

妻なんて、
「家が完成したら、一歩も外に出ないかも」
なんて言っていた。

そこにオペラが加わったのだから、
外出の機会が減るのも、
まぁ自然な流れだ。


完成してからも続く時間

引き渡し後も、
施工の調整や手直しで業者さんの出入りは続いていて、
できれば年内に落ち着いてほしいな、
なんて思っている。

でも、
どの業者さんも誠実に対応してくれている。
そこは、素直に感謝している。


暮らし方は、思ったより変わる

オペラを迎えて、
もうひとつ気づいたことがある。

犬同伴で出入りできる施設が、
思っていた以上に少ない。

ショッピングモール、
ホームセンター、
飲食店。

外食の機会は、
一気に減った。


記念日と、決めきれなさ

記念日には、
出張シェフでも呼んでみるか、
なんて考えたりもしている。

……ただ、
僕はそういう段取りが、
とても下手だ。

和食か、洋食か、中華か、創作か。
選んだ途端に、
妻からこう言われる。

「今日は、その気分じゃないんだよね」

僕は、
「あぁ……」
と、その場で撃沈する。


「これじゃない」と言われるまで

リサーチ不足なのだろう。
たぶん、毎回。

かと思えば、
「私にばっかり聞かないで、自分で決めなよ」
とも言われる。

その結果、
「これじゃない」
になる。

女心は、難しい。


建築途中に聞こえてくる声

家を建てている最中は、
外野の声も、なかなか賑やかだった。

「言いなりになっちゃダメよ」
「ご主人がハッキリ言わないから、なめられるのよ」

そんな言葉を、
何度も耳にした。


怒れない自分について

基本的に、
僕は怒らない。

自分の中の「怒るボタン」に触れた時は、
さすがに怒るけれど、
そうでない限り、
無理に声を荒げることができない。

妻から、
「おぷっぷがハッキリ言ってよ」
と言われることもある。

でも、
そういう時に限って、
怒れない。

振り返ってみると、
あの頃の自分は、
どこか少し否定的になっていた気がする。

家づくりの最中は、
判断することも多くて、
気持ちに余裕がなかったのだと思う。

でも今になって思う。
あの時、いろいろと言ってくれていた人たちは、
僕なんかより、はるかに経験値のある人たちだった。

僕らが損をしないように、
変な思いをしないように、
騙されないように。

そんな気持ちで、
親切に教えてくれていたのだと、
今さらながら気づかされている。

当時は素直に受け取れなかったけれど、
今は、
感謝しかない。

本当に、ありがとうございました。


家を持つことを、あきらめかけていた

実は、
家を持つのは、
もう半分あきらめていた。

過去に一度、
中古住宅を購入したことがある。

離婚の際、
その家は、
前の家族の住まいになった。


年齢と、思い込み

今の妻と、
もう一度家を持つことは、
年齢的にも難しいだろう、
そう思っていた。

ところが、
「その年齢なら、ローン組めるはずよ」
と、背中を押してくれる人がいた。

半信半疑で挑戦した中古物件のローン審査は、
通った。

正直、
自分でも驚いた。


流れで決まった、新しい選択

知っていた情報は、
あまりにも古く、
アップデートされていなかった。

言葉は悪いけれど、
自分は、情弱だったのだと思う。

その後に出てきたのが、
あの「お買い得な土地」だった。

計画的だったわけじゃない。
ただ、
流れがそうなっただけだ。


それでも、今ここにいる

今でも、
機会があれば、
もう一軒建ててみたい、
なんて思ったりする。

でも、
なにがなんでも、
というわけでもない。

ロマンを語っているだけだ。


足るを知る者は富む。 貪らざるを以て宝と為す。

そう言い聞かせながら、
それでも、
志は少し高く、
腰は低く。

気づけば、
自分で強く望んだというより、
流れに乗って、
ここまで来ていた。

それでも、
今はここにいる。

この家で、
この暮らしをしている。

それで、
いいのかもしれない。


📘 次のお話:第45話「生活が整う前に、居場所が決まった」


プロフィール
こんにちは、自由きままなライフログを書いている おぷっぷ です。

家族として迎えたチワワの「オペラ」と過ごす日々を中心に、 日常のささやかな出来事や感じたことを “そのままの言葉で” ゆるやかに綴っています。

オペラはまだ赤ちゃんで甘えん坊。 ふっとした仕草や表情に、あたたかさを感じる毎日です。 そんな小さな相棒と過ごす時間は、季節の移ろいをしみじみと実感させてくれます。

このブログでは、
・オペラとの何気ない日常
・心がふっと動いた瞬間
・飼い主として学んだこと、悩んだこと
・生活の中で見つけた小さな喜び
などを文章と写真で記録しています。

“note to self(自分への小さなメモ)” のように、 未来の自分がふと振り返ったとき、 温かい気持ちになれるページを残したい。

そんな気持ちで、ゆるく書いています。 どうぞ気軽に読んでいってくださいね。
ライフログ「日々とぬくもり」
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