🕊️ 前回のお話:第277話「従わせたいわけじゃない。でも、守るために伝える」
オペラにとって、我が家へ来て初めての夏。
暑さにも寒さにも、それほど強くないチワワなので、室温はだいたい24℃前後を保っている。
オペラは快適そうに暮らしている。
その代わり、僕は別のものに怯えている。
電気代の請求額である(笑)。
1歳2か月、食欲は今日も絶好調
オペラは現在、1歳2か月。
体重は4.8kgになり、持病もなく、食欲は旺盛。
いや、旺盛というより、
食べ物に関する情報収集能力が高すぎる。
人間が何かを食べようとすると、いつの間にか近くにいる。
袋の音。
まな板の音。
冷蔵庫の扉が開く音。
そのすべてを聞き分けているように見える。
この夏、そんなオペラの好物が二つ増えた。
ピーマンと、スイカである。
ピーマンを食べる犬
最初にピーマンを食べた時は、少し意外だった。
犬は、あの青臭さや苦みを嫌がるものだと思っていた。
ところがオペラは、細かくして火を通したピーマンを、特に迷う様子もなく食べた。
警戒する。
匂いを確認する。
一度こちらの顔を見る。
そんな慎重な手順を踏むのかと思ったら、
普通に食べた。
そして、もっとないのかという顔をした(笑)。
もちろん、ヘタや種は取り除き、味付けはしない。
初めての食材は少量から。
食べたあとの体調も確認する。
そこは、気まぐれ王子の希望よりも、飼い主側の判断を優先している。
スイカという味を覚えてしまった
ピーマン以上に気に入ったのが、スイカだった。
最初にひとかけら食べた時から、反応が違った。
目が開く。
食べる速度が上がる。
食べ終わったあとも、その場から動かない。
どうやらオペラの中で、
「これは、とても良いものだ」
と認定されたらしい。
それ以来、誰かが冷蔵庫へ向かうと、オペラも動く。
人間より先に冷蔵庫の前へ到着し、
スイカ、あるよね?
と言いたそうな顔で見上げてくる。
あの上目遣いは、かなりズルい。
今日は、スイカの時間ではありません
しかし、冷蔵庫を開けるたびにスイカが出てくるわけではない。
食べてよい時間と量は、こちらで決めている。
だから、
「今日はないよ」
と伝えることもある。
するとオペラは、しばらくこちらの顔を見る。
聞き間違いではないか。
交渉の余地はないのか。
もう一度、冷蔵庫を確認しなくてよいのか。
そんな表情をしたあと、ようやく諦める。
そして、
見るからに寂しそうな背中で、トボトボと去っていく。
これもズルい。
まるで僕たちが、とても悪いことをしたような空気になる。
しかし、ここで追いかけてスイカを渡してはいけない。
第277話で学んだばかりだ。
曖昧にしない優しさ。
まさか翌日に、スイカで試されるとは思わなかった(笑)。
水は、それほど魅力的ではないらしい
オペラには、もう一つ気になることがある。
水をあまり飲まない。
まったく飲まないわけではない。
僕たちが飲み物を口にするタイミングで水を勧めると、少し飲むこともある。
ひと舐め。
ふた舐め。
そのまま立ち去る。
時々、思い出したように少し多めに飲む。
どうやらオペラにとって、普通の水は、
自分から急いで飲みに行くほど魅力的なものではないらしい。
だからといって、人間用の飲み物を与えているわけではない。
水分は、手作りご飯へぬるま湯や白湯を加えるなどして補っている。
それでも、水の入った器はいつでも飲めるように置いておく。
飲まないように見えても、必要な時には飲むことがあるからだ。
派手な解決策はない。
器へ水を入れる。
声をかける。
食事でも補う。
排泄や体調を見る。
地味だけれど、今のところはそれを続けるしかない。
スイカは水分補給……ではあるけれど
スイカは水分の多い食べ物なので、オペラが喜んで食べる姿を見ると、
「これで少し水分も取れるな」
と思う。
ただし、喜ぶからといって、欲しがるだけ与えるわけにはいかない。
オペラなら、こちらが止めなければ、かなり食べそうな勢いである。
本人の希望量と、飼い主が考える適量。
そこには、なかなか大きな隔たりがある(笑)。
食べ物を前にすると、オペラの主張は分かりやすい。
僕はまだ食べられます。
何の問題もありません。
早く次をお願いします。
顔がそう言っている。
しかし、食べたあとにお腹を壊して困るのはオペラだ。
だから、こちらが調整する。
これもまた、守るために伝えることなのだろう。
我が家の気まぐれ王子
水は、それほど飲みたくない。
でも、スイカは食べたい。
ピーマンも悪くない。
冷蔵庫が開けば、とりあえず確認へ向かう。
何も出てこなければ、哀愁を漂わせながら去っていく。
そんなオペラを見ていると、
我が家の気まぐれ王子
という言葉が、ますます似合ってきた気がする。
本人は、気まぐれだとは思っていないだろう。
その時々で、自分の希望を正直に表現しているだけ。
そして僕たちは、その表情や動きを読みながら、
「今日は何を言いたいんだろう」
と考える。
飼い主一年生の夏は、室温管理と水分補給と、スイカ交渉で過ぎていく。
初めての夏も、そろそろ終盤
オペラにとって初めての夏。
暑さで大きく体調を崩すことなく、元気に過ごせているのはありがたい。
好物も増えた。
冷蔵庫へ先回りする技術も身についた。
しょんぼりした背中で、人間の罪悪感を刺激する技も覚えた。
……成長の方向が、少し気になる(笑)。
夏も、そろそろ終盤。
まだ暑い日は続くだろうけれど、僕たちもオペラも、バテずに過ごしていきたい。
そして今日も、誰かが冷蔵庫へ近づく。
その瞬間――
気まぐれ王子が、誰よりも早く走り出す。
スイカ、あるよね?
たぶん、そう言っている(笑)。

