🕊️ 前回のお話:第283話「「もっと早くやればよかった」を何度繰り返すんだろう」
オペラは、元気が有り余っている。
家の中でも、よく走る。
というか、駆けずり回る。
「そんな狭いところで、よくそのスピード出せるな……」
と思うくらい、毎日元気いっぱいだ。
そんなオペラと暮らしていて、時々あるのが、
文鳥たちの放鳥タイムとのバッティングである。
もちろん、そこは飼い主がしっかり監視。
一緒の空間にいるとはいえ、こちらもかなり神経を使っている。
とはいえ、稀にオペラが文鳥を追いかけることがある。
僕と妻から見れば、
「こらこら、追い回しちゃダメ!」
なのだが、たぶんオペラの中では、
「文鳥さん、あそぼうよ!」
くらいの感覚なんだと思う。
一方の文鳥からしたら、完全に
「いやいやいや、命の危険!」
である。
この温度差、なかなかすごい。
当然、そんな時はオペラを叱る。
でも、叱られた本人はというと、
反省しているのかしていないのか、よくわからない顔で、しばらくすると普通に遊び始める。
その切り替えの早さも、またオペラらしい。
そんなある日。
僕がソファーに座って、ちょっとボーッとしていた時のこと。
その瞬間、オペラがソファーの上で動いたと思ったら――
後ろ脚で僕の脇腹を蹴った。
しかも、
その蹴った反動を利用して、ソファーから床へ華麗にジャンプ。
……いやいやいや。
今の、完全に踏み台だったよね?
しかも、しっかり痛い。
地味に痛いじゃなく、
「あっ、普通に痛い」
くらいには痛かった。
そこで僕は、オペラに向かって言った。
「痛いよ~。パパさん、マジで痛かった……」
「オペラ、謝って!」
冗談まじりではあったけれど、
やや強めの口調だったと思う。
するとオペラが、ピタッとこちらを見た。
その表情がまた絶妙で、
- ちょっと悪いことしたかな?
- ごめんなさい?
- え、そんなに怒る感じ?
みたいな、なんとも言えない顔をしたのだ。
少なくとも、僕にはそう見えた。
そして、その数秒後。
オペラは何事もなかったように、ロープでひとり遊びを始めた。
「あ、もう気にしてないのか」
そう思った次の瞬間――
目から大粒の涙が、ポロン。
……え?
今、泣いた?
僕も見た。
妻も見た。
しかも、タイミングが完璧すぎた。
まるでドラマのワンシーンみたいに、
絶妙な間で、ポロン。
あまりにも出来すぎていて、こっちが戸惑うレベルだった。
すると妻が、すかさず僕に言った。
「おぷっぷ、オペラが泣いてるじゃん!」
「オペラに謝って!」
えっ、そっち?
蹴られて痛かったの、こっちなんだけど。
……とは思ったものの、
現場の空気は完全に
“泣かせた側が悪い”
という流れになっていた。
強い。
涙は強い。
結局、僕がオペラに向かって
「ごめんなさい」
と謝ることになり、
その後は何事もなかったように遊び再開。
さっきまでの流れ、何だったんだろう。
でも、こういうところがオペラらしい。
元気いっぱいで、
ちょっとやんちゃで、
悪気はなくて、
たまにこちらの想像を超える反応をする。
叱ったつもりが、
気づけばこちらが謝っている。
そんな逆転劇すら、自然に起きてしまう。
もしかするとオペラは、
ただ元気なだけじゃなく、
**かなりの“役者”**なのかもしれない。
もしそうだとしたら、
我が家で一番の名演技派は、間違いなくオペラである。
そして僕は今日も、
その名演技に振り回されながら暮らしている。
……いや、振り回されているというより、
楽しませてもらっている、が正しいのかもしれない。
