🕊️ 前回のお話:第256話「完熟梅が教えてくれたこと。」
最近、小さな発見があった。
妻との何気ない会話なんだけど、妙に腑に落ちた出来事だった。
我が家では、朝ごはんはお互い適当に済ませることが多い。
だから問題になるのは、
休日のお昼ごはん。
そして毎日の晩ごはん。
毎回じゃない。
でも……
結構ある(笑)。
休日。
車に乗り込む。
僕が言う。
「何食べようか?」
妻は笑顔で答える。
「おぷっぷの食べたい物でいいよ♪」
ここまでは平和。
問題は、このあと。
僕は本当に思っている。
「何でもいいよ。」
すると妻。
「何でもって何?」
「ちゃんと決めて!」
「いつも私じゃん!」
「たまには決めてよ!」
始まった(笑)。
僕は困る。
だって、本当に何でもいいんだ。
少し考えて答える。
「じゃあ、○○のパスタとピザ!」
「了解!」
ようやく決まった。
そう思って車を走らせる。
「次の信号を左折して……」
すると、
助手席から静かに一言。
「……その方向なら○○の和食でしょ。」
「……。」
「はい。」
「和食行きます(笑)。」
心の中では毎回思う。
「結局、こうなるんだよな……。」
だから最初から、
「何でもいい。」
って言ってるのに。
僕が決めた意味よ(笑)。
そんな話を、ある日たまたま、後輩女子にした。
きっかけは、後輩女子の夫婦喧嘩の話。
ひと通り聞いたあと、
今度は僕の番。
「実はさ……。」
そう言って、この『何食べる?問題』を話した。
後輩女子は最後まで頷きながら聞いてくれた。
「うん。」
「うん。」
「なるほど。」
一度も話を遮らない。
そして……
突然、
大爆笑。
「えっ?」
「何?」
「そんなに面白い話だった?」
本当に鳩が豆鉄砲を食らったような顔だったと思う。
笑いが少し落ち着いた頃、
涙を拭きながら後輩女子が言った。
「女子はね、一緒に決めたいの。」
「……え?」
まだ意味が分からない。
すると続けてこう言った。
「奥さん、いつも自分が決めてるって思ってるんだよ。」
「だから申し訳ないなって気持ちもあるし、気も遣うの。」
「それよりもね。」
『二人で決めた。』
『一緒に決めた。』
そこが嬉しいの。
僕は完全に固まった。
良かれと思って、
「好きなもの食べな~。」
そんな気持ちで、
「何でもいいよ。」
と言っていた。
でも、その一言が、
妻に気を遣わせていたなんて。
考えたこともなかった。
僕は恐る恐る聞いた。
「じゃあさ。」
「『何食べたい?』って聞かれたら、本当に食べたい物を言えばいいの?」
「適当に『今日はパスタ!』とか言っていいの?」
後輩女子は笑いながら答えた。
「いいの、いいの(笑)。」
「もちろん、そのパスタになるとは限らないよ?」
「でも、お互いに意見を出して、一緒に決める。」
「そこが大事なの。」
なるほど。
59年間、知らなかった(笑)。
男と女で考え方が違う。
そんな話は何度も聞いてきた。
『話を聞かない男、地図が読めない女』という本を読んだ時も、
「なるほど。」
とは思った。
でも今回みたいに、
何気ない日常の中で教えてもらうと、
驚くくらい腑に落ちる。
だから今度、
妻に「何食べる?」と聞かれたら、
ちゃんと答えてみようと思う。
「今日はパスタ!」
って。
……
そのあと、
「その方向(方角)なら和食でしょ。」
と言われるかもしれないけど(笑)。
でも、それでいい。
きっと妻が欲しかったのは、
正解じゃなくて、
一緒に決める時間だったんだから。
