波状路 ― なぜか、できた。そして音で目が覚めた

大型自動二輪教習の波状路を立ち姿勢で通過するライダー。段差をリズムよく越えている様子。 バイクという存在

🕊️ 前回のお話:第108話「急制動は、危険回避の練習じゃなかった」


波状路は、大型自動二輪独自の課題だと聞いた。

へぇ、そうなんだ。

その程度の受け止め方だった。

不思議と、「できそうもない」という感情はなかった。
むしろ、できそうな気がしていた。

なぜそう思えたのかは、今も分からない。

  • モトクロスを間近で見た記憶か
  • 体験会で触れたBMXか
  • 自転車で悪路を立ち漕ぎした経験か

どれも決定打ではない。

でも、身体のどこかが知っていたのかもしれない。


いざ、波状路へ

  1. ギアは1速
  2. クラッチは半クラ
  3. 立ち姿勢を作る
  4. 目線は遠く
  5. 半クラで軽くアクセルON
  6. すぐオフ
  7. 繰り返す

ガタン、ガタン。

恐怖心はなかった。
エンストのイメージもない。

なんとなく、できてしまった。

完璧ではない。
でも、通過はできる。


立ち姿勢の一本橋

そのまま、立ち姿勢で一本橋を指示された。

えっ?

座っても苦労している一本橋を、立って?

一瞬、頭をよぎる。

でも、突入してみると――

あれ?

座り姿勢より安定する。

なぜだ?

まぐれか?

回を重ねるごとに、

波状路も、立ち姿勢の一本橋も、
スムーズになっていく。

正直、思った。

一本橋、立ち姿勢でやりたい(苦笑)


でも、まだ“通過しているだけ”だった

このときの波状路は、

「エンストせず、通過している」

だけだった。

リズムも、アクセル音も、
まだ揃っていない。


後半|音で覚醒した瞬間

後日、別の教官が波状路に入った。

その瞬間、空気が変わった。

ブォン。
ブォン。
ブォン。

澄んでいる。

濁りがない。

心が弾む音だった。

それまでの僕の波状路は、
段差に気を取られ、衝撃をやり過ごすことに必死だった。

でも教官は違った。

操作しているのではない。

奏でている。

ギターで言えば、
今日初めて弦に触れた人の音と、
プロのミュージシャンが鳴らす音の差。

同じ楽器。
同じ構造。
同じ段差。

なのに、音はまるで別物だった。

衝撃が走った。

波状路は段差を越えるだけの課題ではなかった。
リズムで走る課題だった。

アクセルは開けるものではない。
揺れに合わせて刻むものだった。

ブォン。
ブォン。
ブォン。

一定のリズム。

衝撃を受け止めるのではなく、いなす。

その音を聞いたとき、
素直に思った。

僕も、あの音を奏でたい。

通過するだけではなく、
鳴らしたい。

波状路は、
越えるものではなく、弾くものだったのかもしれない。


あとがき

波状路は、不思議な種目だった。

怖くもなく、苦手でもなく、
なぜか身体が動いた。

でも、本当に理解するのは
まだまだ先の話。

できることと、分かることは、違う。

波状路は、
その違いを、身体で教えてくれた。


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📘 次のお話:第110話「教官は、やさしい兄貴だった」


プロフィール
こんにちは、自由きままなライフログを書いている おぷっぷ です。

このブログは、今の僕の人生を言い表す言葉を置いておきます。

「山頂を目指す登山ではなく、森を歩く散策。」

目的地は決まっていない。

ただ、歩く。

風の音に耳を澄ませ、

鳥のさえずりに足を止め、

足元に咲く小さな花を見つける。

昨日は気づかなかった景色が、

今日はなぜか心に残る。

昔の足跡を見つけては、

「あの頃の自分は、ここを歩いていたんだな。」

と、静かに微笑む。

歩くたびに森の景色は少しずつ変わり、

歩くたびに自分も少しずつ変わっている。

だから、同じ道でも、

いつも新しい発見がある。

人生は、

山頂を目指して競い合うものではなく、

自分だけの森を歩きながら、
出会った景色を味わう旅なのかもしれない。

そして、このブログは――

人生という森を歩いて見つけた、小さな景色を残す備忘録。

未来の自分へ。

そして、いつか家族がこの森を歩く日が来たなら、

「あぁ、この人はこんな景色を見ながら生きていたんだ。」

そんなことが少しでも伝わったら、

それだけで十分。
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