🕊️ 前回のお話:第188話「レンタルガレージの中を整えた話」
スピードトリプル1050、納車の日
ついに、
スピードトリプル1050の納車日がやってきた。
納車と言っても、
自宅へ届けてもらうスタイルではない。
自分でバイク屋さんまで行き、
自分で乗って帰ってくる。
つまり、
人生初の“大型バイク単独走行”でもある。
正直、
ワクワク半分、
緊張半分だった。
そんな中、
約束時間の30分前に、
バイク屋さんの店長さんから一本の電話が入った。
「本日、お引き渡しで大丈夫ですか?」
最終確認だった。
もちろん、
答えはYESである。
ここまで来て、
「やっぱりやめます」は無い(笑)
そしてバイク屋さんへ到着。
まずは、
小一時間ほど説明を受けた。
・売買契約について
・保証内容
・任意保険
・注意事項
主には、
説明責任と理解・同意に関する内容だ。
そして、
頭金のお支払い。
一括購入やフルローンも考えたけど、
月々の負担を少しでも軽くしたかったので、
今回は頭金を入れる形にした。
さらに今回、
別注で追加したものがある。
・タイヤ新品交換
・ETC2.0
・USB電源
せっかく中古車を選んだのに、
追加オーダー?
……とは、
僕も思った。
でも、
タイヤ残量7分山。
つまり、
数ヶ月後には交換時期が来るかもしれない。
そして、
今の時代、
ETCとUSB電源が無いのは、
やっぱり不便だ。
必要最低限の装備だけは、
最初に整えておこう。
そう判断したのだ。
あとは、
シートバッグくらいだろうか。
そんな事を考えながら説明を聞いていると、
ひとつ、
「えっ?!」
となる話があった。
フロントフォークのオーバーホール済み
だったのだ。
これは、
本当にありがたかった。
実は納車直前になって、
「あれ……フロントフォークの状態、確認してないぞ?」
と、
一人で焦っていたのだ。
だから、
かなり安心した。
説明が終わると、
次は実車での操作説明。
とは言え、
このバイク、
今どきの電子制御はほぼ皆無。
メーター、
スイッチ類、
基本操作の確認くらいだ。
説明が終わると、
店長さんがこう言った。
「僕が近くにいると、やりづらいでしょうから」
そう言って、
少し離れてくれたのだ。
これは、
本当にありがたかった。
僕にとっては、
教習所以外で初めて乗る大型バイク。
人に見られて緊張するタイプではないと思う。
でも、
そういう心遣いは嬉しい。
自分のペースで、
ヘルメットを被り、
グローブを整え、
深呼吸をする。
そして——
いよいよ発進だ。
左手で、
ゆっくりクラッチを繋ぐ。
「重っ……」
教習車とは違う。
でも、
行ける。
アクセルを少し開ける。
前へ進む。
……進んだ。
エンストしなかった。
その瞬間、
心の中でかなり大きなガッツポーズをしていた(笑)
ホッと胸を撫で下ろす。
走り始めて、
最初に感じたのは、
「教習車と全然違う……」だった。
クラッチミート。
アクセルレスポンス。
車体の押し出し感。
何もかもが違う。
特に驚いたのは、
低回転域からのトルク感だった。
「えっ、まだこんな回転数なのに前へ出るの?」
そんな感覚。
さらに、
スロットルを少し開けるだけで、
景色の流れ方が変わる。
教習車では感じなかった、
独特の加速感。
それでいて、
ドコドコした鼓動感もある。
これが、
3気筒なのか……。
頭では理解していたつもりだった。
でも、
実際に乗ると、
全然違った。
正直、
楽しい。
でも同時に、
「これは調子に乗ったら危ないやつだ」
とも感じた。
だから、
必要以上に回さない。
無理に飛ばさない。
とにかく、
無事に帰る。
それだけを考えていた。
そんなこんなで、
なんとか“いつものガソリンスタンド”へ到着した。
夕方という事もあり、
スタンドは結構混雑していた。
僕も列の最後尾へ並ぶ。
大型バイク初心者ゆえ、
周囲を見る余裕などほぼ無い。
すると、
後ろに並んでいた親切な方が、
「奥、空いてますよ!」
と教えてくれたのだ。
ありがたい。
どうやら僕は、
自分の順番ばかり気にしていて、
前方レーンが空いている事に全く気付いていなかったらしい(笑)
そして、
いよいよ給油レーンへ。
ここで新たな問題発生。
ニュートラルに入らない。
「あれっ……?」
カチャ。
カチャ。
入らない。
焦る。
後ろも並んでいる。
実は後から調べて知ったのだが、
トライアンフなど外車系は、
渋滞走行などで熱が入るとニュートラルに入りにくくなる事があるらしい。
もちろん、
その時の僕はそんな事知らない。
結果、
1速のままエンジン停止(笑)
もう、
初心者丸出しである。
そして、
ここからが本番だった。
給油しようと、
バイクを降りる。
……のだが。
実はこの時、
サイドスタンドを出していなかった。
いや、
正確には——
「出したつもり」
だったのだ。
教習所では、
バイクを降りてからスタンドを出していた。
でも僕は、
跨ったままスタンドを出す自己流になっていた。
完全に、
動作が雑になっていたのである。
そして——
「ヨッコラショ!」
そう言いながら、
何気なく車体から手を離した瞬間。
バイクが自分側へ倒れてきた。
「うわっ!!!」
マズい。
重い。
ヤバい。
頭の中が一瞬真っ白になる。
でも、
幸いにも。
全荷重が掛かる前に、
なんとか支えることができた。
転倒は回避。
セーフ。
本当にギリギリだった。
あれは完全に、
ヒヤリハットの瞬間だったと思う。
今振り返ると、
納車直後でテンションが上がっていたのと、
大型バイク特有の重さや取り回しに、
まだ身体も頭も追いついていなかったのだろう。
「慣れた頃が危ない」ではなく、初心者は最初から危ない。
そう実感した出来事だった。
そんなこんなで、
約一時間かけて帰宅。
無事に帰って来れた。
まずは、
それだけで十分だった。
そして不思議なことに、
バイクを降りてからも、
ずっと気持ちが高ぶっていた。
アドレナリンが、
ドバドバ出続けている感じ。
頭は疲れている。
肩も張っている。
握力も微妙に疲労感がある。
おそらく、
変な力が入りっぱなしだったのだろう。
さらに、
若干の筋肉痛まで出始めた。
なのに、
気持ちだけは妙にハイ。
ワクワクと興奮が抜けないのだ。
その結果、
寝付けない(笑)
翌日は当然、
睡眠不足のまま出勤する羽目になった。
身体はダルい。
でも、
気分は高揚している。
まるで、
遠足前日の子供みたいだった。
いや、
大型バイクを手に入れた、
中年おじさん版・遠足前夜なのかもしれない(笑)
でも、
嫌な疲れではなかった。
むしろ、
「大型バイクに乗ったんだなぁ……」
という実感の方が強かった。
同時に思った。
これは、筋力アップも必要だぞ……
ってね。
これから、
少しずつ。
バイクにも、
自分自身の身体にも、
慣れていこうと思う。
50代後半、還暦目前で大型二輪免許を取得し、スピードトリプル1050へ乗り始めた記録を固定ページへまとめています。
大型バイク初心者ならではの失敗や、ガレージ問題、健康寿命との向き合いなども含めて更新中です。
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