🕊️ 前回のお話:第269話「森を歩く人」
オペラには、少し不思議な習慣がある。
うんちをすると――
ものすごい勢いで、僕のところへ走ってくる。
それはもう、報告というより猛ダッシュ。
「そんなに急いで知らせることなのか?」
と思うくらい、真っすぐこちらへ向かってくる(笑)。
妻は「褒められたいんだよ」と言う
その様子を見て、妻は言う。
「オペラ、おぷっぷっさんに褒められたいんだよ。」
僕としては、少し違う気がしている。
きちんとペットシーツの上でできたら、ご褒美として食べ物をあげることがある。
だから僕のところへ来る理由は、たぶん――
ご褒美が欲しいだけ。
そう思っている。
妻は「違うよ」と言うけれど、真相はオペラにしか分からない。
ただ、あの猛ダッシュを見る限り、何かを一刻も早く伝えたいことだけは確かである。
サインを見逃してしまうこともある
僕が料理をしていたり、オペラのご飯を用意していたりすると、その報告に気づかないことがある。
オペラは一度だけでは諦めない。
二度、三度と僕のところへやってくる。
時には吠えて知らせることもある。
それでも僕が気づかないと、やがてオペラは諦める。
そして、一人でどこかへ移動して――
少し寂しそうな姿をまとって、静かに佇んでいる。
その姿を見て、
「オペラ、どうした?」
と思う。
そしてペットシーツのトレイを確認して、ようやく気づく。
「あっ! うんちしてたのか!」
褒めるタイミングが遅い
「オペラ、偉いねぇ~!」
そう言って褒めると、オペラは少し得意げな表情をする。
けれど、その顔にはどことなく、
「遅いよ。」
という感情も混ざっている気がする。
「気づかなくてごめんね。」
「さっき吠えてたのは、うんちしたって教えてくれてたんだね。」
そう説明してみるものの、もう遅い。
オペラは素っ気ない。
完全にシラケている。
「今さら何を言ってるの?」
そんな空気さえ伝わってくる(笑)。
オペラは言葉を話せないだけで、感情の出し方は僕たちとほとんど変わらない。
一生懸命伝えたのに気づいてもらえず、ようやく気づかれた頃には、
「もういいよ。」
となっている。
笑ってはいけないと思いつつ、あまりにも人間らしくて、つい笑ってしまう。
一番拗ねるのはオペラではなかった
ただし、我が家で一番拗ねるのは、オペラではない。
妻である。
僕がオペラに向かって、
「偉いねぇ!」
「ちゃんとできたねぇ!」
と盛大に褒めていると、妻が横から言う。
「私が掃除しても褒められない。」
「ご飯の支度をしても褒められない。」
「オペラばっかり褒めるのは、おかしいと思います。」
……ごもっともである(笑)。
オペラはうんちをしただけで褒められる。
妻は掃除をしても、食事を作っても、特に何も言われない。
確かに、少し不公平かもしれない。
今日も猛ダッシュでやってくる
オペラが僕のところへ走ってくる本当の理由は、ご褒美が欲しいからなのか。
それとも、妻の言うように褒められたいからなのか。
たぶん、その両方なのだと思う。
そして今日も、用事を済ませたオペラは、異常な速さで僕のところへやってくる。
今度こそ、一回目の猛ダッシュで気づいてあげたい。
その前に――
掃除や食事の支度をしてくれた妻にも、
「ありがとう。偉いねぇ~!」
と言ったほうがよさそうである。
ただし、その言い方をすると、たぶん怒られる(笑)。

